モノと向き合う

最近ミニマリスト関連の本を読み漁っている。

「ふやすミニマリスト 1日1つだけモノを増やす生活を100日間続けて分かった100のこと」藤岡みなみ著を聞いた。

タイトルに惹かれて読んだのだが、これがなかなか面白かった。著者の藤岡みなみ氏はラジオパーソナリティなどもされているエッセイストの方。ミニマリストはモノが少ない人でしょ?という思い込みがあるのでタイトルとしては秀逸だ。タイトルの付け方から興味をひかれたが、実際読み始めてみると、藤岡さんはミニマリストではないという肩透かしをいきなり喰らった。

でも映画の企画から刺激を受け、モノを何も持たないゼロから生活を始めて1日1つずつモノを増やしていくというサバイバル生活を実際に頼まれてもいないのにやってみて、その経験を読者は本を読み進めるにあたって追体験できるという本だ。

コロナ渦での挑戦ということで、意識が外に向けられなくなり、家に向かうことで生まれたようだ。自分でするには相当な覚悟がいるし、なかなかできるものではない。エンタメ性もあり、通常のビジネス書とは毛色が違う。

読み物としても幅広く楽しめそうだ。そして、ミニマリストではない普通の感覚の人が書くミニマリスト体験の本だからこそ、リアルが伝わってくる。

藤岡さんはこのチャレンジの為にアパートを借りて空っぽの状態から始め、自宅から1日1つ、モノを持ち込む(食品は購入してOK)というルールに従い実際に100日感を過ごす。

本は2部構成になっており、前半の第一部では実際に持ち込んだ100個のアイテムの紹介が、その理由と考察と共に語られる。語り口がコミカルで堅苦しくなく、軽く聞けるが、実際に体験した1次情報であるが故の生々しい説得力がある。

後半の第二部ではその考察が語られる。シンプルライフを通して、今まで当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなかったということを再発見出来たり、言葉にすると月並みな表現になってしまうが、実際にそれを体験することに意味がある。

本を通して、2次情報ではあるが、そのような気付きを追体験させてくれる。例えば「タオル」や「箸」「くつ」のない生活について生まれてから今まで考えたことはなかった。

生まれた時から当たり前に持っているものに対して感謝を感じることはない。普通に生きているとそんなことを一生考えることがない世界に僕は生きている。

今一度、「モノ」と向き合う大切さを教えてもらった。ミニマリストしぶさんの言葉を思い出す。

「人を変えるのに必要なのは意志ではない。環境だ。だから環境を変えることに全力を注ごう。」